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ダークオブシス

神が創造したのに何故悪が存在するのか?これは若きアウグスティヌスの一大疑問であった。 
教会「すべてキリスト教に回心するならば悪がなくなる」 

若きアウグスティヌス「では教会に悪が存在するのは何故か」 

そこにマニ教徒が現れて言う。 
「君の疑問はもっともだ。君のおふくろも含めてキリスト信者たちが教えていることはウソなのだ。僕が本当のことを教えてやろう。それはこうだ。 目に見える世界はユダヤ人たちの拝んでいる神が造った。実はこの神は悪魔なのである。だからこの世界は悪の塊だ。悪は肉体から起こる。しかし君の本質は肉体ではない。君の本質は霊だ。霊は善きものである。残念なことに霊は肉体に囚われ自分の望む善をすることができない。パウロも言っているではないか、『われわれの中には霊の法と肉の法とがあって、われわれは自分の欲する善はなしえず、欲しない悪をなす』と。キリストの弟子たちのうちパウロだけが本物だ。あとの奴はみなダメだ。キリストはパウロだけに本当の知恵、つまりグノーシスを伝えたのである。真理の神は霊の世界を支配する。霊界には無数の霊体、つまりアイオーンが存在する。キリストは最もすぐれたアイオーンであって、神の子と呼ばれる。霊の神は人間の霊を肉から救い出すためにキリストをこの悪の世界に送り込んだのである。だからこの世界では肉と霊、悪と善、闇と光とが戦っている。そして世の終わりに光が闇に勝ち、霊は肉に勝つのである(この世界は消滅する)」

「わたしはどうしたらよいでしょう」 

「肉を食べてはいけない」 

「野菜だけにします」 

「君は同棲しているらしいが別れなさい」 

「それは困ります。子供もありますし、愛し合っているのです」 

「ではダメだな」 

「どうかあわれんでください、なんとか救われる道はないでしょうか」

「ただ一つだけ道がある。それは聴聞者になることである。肉食妻帯せず清浄無垢な聖者さまたちがおられる。君は到底聖者にはなれないのだから、せめて聖者さまの功徳にあずかるようにしなければならない。そのためには聖者さまのお説教を聴かなくてはならない。そしていろいろなご供物を差し上げなくてはならない。相当カネがかかるが、いいかね」

「よろしうございます」 

「もう一つ注文がある。仲間に入った以上布教活動に加わってもらう。われわれの当面の敵はあの憎むべき教会のキリスト信者たちである。だからあらゆる宣伝を流して、奴らの一人でも多くを奴らの迷信から引き離して、われわれの仲間に入れなければならない。やる気があるかね」 

「やります」 

このようにして若きアウグスティヌスはマニ教に入信し、布教活動に熱中した。 後に弟子が「いったい悪を創ったのはだれですか」と問うたのに対してアウグスティヌスは「それこそは若いときのわたしを非常に苦しめた問題である。わたしはその解決を求めてマニ教に引きずり込まれて長い間苦しんだ」と言っている。 

次回に続く。 

参考文献 
アウグスティヌス講話 山田晶p.147~153.